小暮和代の写真集 墓場の猫シリーズ

「あんびばれんと」

Photography by KOGURE, Kazuyo

谷中墓地にて。ぽつねんと若い猫が墓場にいる。お地蔵様の向こうに。じっと見凝めているのは、なんだろう。この緊張感。

撮影者の一言: 「せつないのう。でもこいつは逃げ足、速かった!やっぱ、そうでないとシャミセンなのかぁ」


私の育った地方には、卒塔婆という習慣がありませんでした。そのせいか、卒塔婆は墓石以上に生々しい気が致します。あの梵字がおどろおどろしくって…地方によって、お墓の雰囲気もだいぶ違うのでしょうね。

旅行をすると、奥村はよく教会と墓地を見に行きます。パリのカタコンベ(地下墓地)は一見普通の市街地なのですが、鉄製のドアの鍵を開けて、階段を深く下りていくと、通路の周りの壁はひたすら骨の累積でありました。昔の墓を掘り起こして、骨を綺麗に積み上げたとか。その量に圧倒されてきましたが、おどろおどろしい感じではありませんでした。

つい先ごろ行ったニューオーリンズも、独自の墓が有名なところ。町がミシシッピ川の水面よりも低いため、水が出ても大丈夫なように、霊廟がたくさん立ち並び、地面より上に埋葬するとのことです。おりしも、見事に雰囲気のある黒猫が出てきたもので、わたくしは、嬉々として写真を撮ってしまいました…

写真:小暮和代
コメント:奥村薫
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